秋におすすめの漢方薬

蒸し暑かった9月も過ぎ、やっと湿度・気温供に秋らしくなってきました。

こんにちは、千葉県柏市で主に妊活・婦人科系疾患の漢方相談しています漢方専門山崎薬局の山崎幹久です。

 

今回は『秋』という季節に合わせて、この時期だからこそおすすめしたい漢方薬をご紹介致します。

 

中医学では秋は乾燥の季節であり、『肺』に関連の深い季節とも言われています。

中医学では肺と表裏の関係にあるのは『大腸』であり、また『鼻』や『肌』などの器官も肺に含まれるとされます。

 

つまり、外気に触れる肌や粘膜が弱い方は乾燥からくるトラブルに気を付けたほうが良いよ、普段から便通が固くて出しにくい傾向にある方はこの時期は特に肺の乾燥に合わせて大腸も乾燥しやすくなるので便秘が更にひどくなるから気をつけた方が良いよ、となります。

 

また今年は特に顕著ですが、夏の暑さが落ち着いて急に朝晩の気温が下がるようになってきました。

温度変化による自律神経の変化も意識しておく必要があります。

一方で肺は「悲しい」という感情を司る臓とも言われ、それゆえに秋は「悲しい」という感情が高ぶりやすくなります。

何かにつけ悲哀感を受けると言っても良いかもしれません。

有名な小説にあった「あの最後の葉っぱが落ちると私の命は…」みたいな感じです。

 

何につけてもネガティブな方に考えやすい方は、季節の変化から生じる自律神経への影響で、よりその傾向が強くなります。

　夜、寝つきにくくなった。

　面白いと感じる事が減った。

　何をしてても気がつくと寂しい。

最近始まった上記のような状態は、もしかすると季節限定、今だけの症状かもしれません。

それなら季節の経過で自然と解消してしまう場合もあります。

よほどつらくなければ安定剤などには手を出さないほうが良いと思います。

 

 

では、おすすめの漢方薬ですが、パターンごとに一つ一つ紹介してまいります。

 

◯　肌や粘膜の乾燥が気になる：八仙丸・瓊玉膏・婦宝当帰膠

漢方で言うところの「津液（潤い）」や「血（血液）」が健康な状態を保つのに不十分な状態です。

空気の乾燥と供に、粘膜や肌も乾燥してきます。

保湿剤で外側からケアすれば間に合うのであればそれで構いません。

保湿剤でも間に合わない方は、体質に合わせて内側からも漢方薬で補って頂くと、乾燥からくる「痒み」「パサツキ」「突っ張り感」「赤味・痛み」が解消できます。

 

◯　お腹が張って便が固くなった：麻子仁丸・潤腸湯・婦宝当帰膠

「津液」や「血」の不足が粘膜や肌の乾燥ではなく、内臓の方にでている状態です。

中医学では「肺」は「大腸」と表裏の関係にあります。

肺に影響してくる「乾燥」が、大腸にまで及ぶと、便が乾燥し、固くなり、動かなくなることがあります。

このような便秘には腸管に潤いや油分を補い便の乾燥を防ぐ、麻子仁丸や潤腸湯などがおすすめです。

このような体質をお持ちの方は、多くがそもそも日常的に血液や潤いが不足している方が多く、普段から婦宝当帰膠などを飲んでおいて頂くと普段の体調も良く、季節的な変化の影響も大きく受けずに済むのでおすすめです。

 

◯　悲哀感が強い：心脾顆粒・逍遥顆粒・抑肝散加陳皮半夏

中医学では「血」は体の栄養だけでなく、心の栄養も補う要素と捉えています。

胃腸の弱さや栄養の偏り、日常的なストレス、疲労、寝不足などで心を健全に保つための「血」が十分に足りていないと、秋が深まっていく持期に、特に「悲しい」「寂しい」「鬱々する」などのメンタルダウン方向に気持ちが落ち込むことあります。

これは秋に最も影響を受けると言われている「肺」が司る情志が「悲しい」という感情だからです。

この場合、肺に直接の効果を持っているわけではありませんが、心脾顆粒や逍遥顆粒など、血液を補いながら感情の不安定感を改善する効果のある漢方薬を利用します。

胃腸が弱い方の場合は抑肝散加陳皮半夏のような胃腸をサポートする生薬も組み込まれている処方の方が、飲みやすく、効果もより感じられることと思います。

 

「天高く馬肥ゆる秋」は本来は体がやっと夏の暑さから開放され、楽に過ごすことができ、食事が美味しく、体を動かしたくなってくる季節です。

もし、そうでないのであれば日常生活のなにか、あるいは健康な心身の状態になにか失調を起こすものがあるのかもしれません。

 

ぜひ、普段の生活にも中医学の知識を活かして、健やかで穏やかな充実した生活を送って下さい。