こんな基礎体温表の時は要注意…

各周期において体調的な、あるいはホルモンバランスにトラブルが発生すれば、基礎体温もそれに応じて変化します。


逆に基礎体温の微妙な変化から、月経に関連するホルモンのバランスや体質的な過不足を読み取って、漢方理論で体全体の安定と体質改善を得ることが出来ます。


店頭でよく見るトラブルを大まかに分類し、下記に列記いたします。


!注意!

下記にあげる表はすべて、

○ 毎日同じ時間に就寝し、基礎体温を測る時間も毎日ほぼ同じ時間である。

○ 季節ごとの夜間の気温変化にきちんと対応した状態でご就寝されている。

上記二点を大前提として考え、ご覧下さい。

また、いずれかのトラブルに近い状態だから絶対妊娠できないと言う事でもありません。

あくまで「原因不明」となった際の参考資料程度に見て頂きたいと考えて掲載しています。


気になる方はお気軽にご相談ください。


①卵胞期が延長し月経周期全体では35日以上あるタイプ

全体としては35日以上で周期的に生理が起きていますが、卵胞期が20日以上に延長しています。

 

この基礎体温表になる方は陰血(いんけつ)が不足し、陰が陽に転化する(卵胞が黄体に変化する)事ができないタイプと考えられます。


ここでいう陰とは体の潤い、血とは血液の事を意味します。


原因としては、寝不足や疲労の蓄積・ストレスなどが多いですが、毎月の月経による血液の消耗に体が回復しきれない事もあります。


生活、食事習慣の確認・改善と、体質的なトラブルの改善を中心に、血液や体液などを補う方向性で考えます。


②基礎体温は二層線になっているが全体的に上下にギザギザ動き安定しないタイプ

黄体期の体温がギザギザするのはストレスの感受性が強い方や、普段から神経を使う職業をお持ちの方に多く見られます。


「肝うつ気滞」といわれる気のめぐりがつまって崩れている状態です。


基本的に黄体期はプロゲステロンの分泌により体がむくんだり、気持ちに余裕がなくなったりする時期です。

そこにさらに外的なストレス・内からの不安・焦りが加わり身体的に大きな影響が出てしまうのでしょう。


肝うつ気滞には気のめぐりを整える漢方薬を利用します。

肝うつの症状が胃や腸、頭痛や目のトラブル、血流などに影響する事もあり、症状を見て必要な方剤の加減を行います。


③黄体期の体温が高い、または低い

卵胞期に順調に卵子が成長し排卵が出来たならば、黄体期の体温は36.8°~36.9°程度が理想的です。


黄体期の基礎体温が37.0以上の日が続く場合、子宮の中に熱がこもりがちな状況が生じます。

逆に低い日が多い(黄体期でも36.5程度が上限)場合、子宮内は寒すぎという事になります。


これは、例えば 「人はサウナの中でもゆっくり眠り続けられるのか?エアコン効きすぎの寒い部屋でゆっくり眠り続けられるのか?」と考えると分かりやすいと思います。

大人でも厳しい条件なのに、出来たばかりの受精卵ならなおさら持つものではありません。


もちろん妊娠後にHCG(ゴナドトロピン)が分泌されると体温が37.0℃くらいに達する事はありますが、この際もその前段階では体温は36.8℃くらいのはずです。


黄体期体温が37.0℃もあると、ご自身の方も相当につらい黄体期になるはずです。

多くの場合、原因は日常の生活習慣的にはストレスや睡眠不足、香辛料などの多い食事習慣が関連します。

また病院でホルモン剤による排卵促進治療を受けていても、誘発剤の連用でエストロゲン(陰)が枯渇し体温が周期全体に高くなってくる事があります。


37℃を超える事が多い際は、多くの場合、陰(体液・潤い)の不足により陽(エネルギー・熱)の亢盛を抑え切れないものと捉えます。

体温を上げる要因である「陽気」をうまくコントロールできるように体質改善していきます。


 今度は逆に黄体期体温が36.5℃程度までしか上がらない場合。


原因として考えられるのは、陽気(体を温める力、卵胞から黄体へ変化を促していく力)の不足やオ血(血流が悪い)・痰飲(たんいん:老廃物や水分の停滞)の存在です。


また年齢が上がってくると基礎体温が一度全体的に下がり、その後卵巣機能の低下とともにどんどん体温が上がってくるという現象が起きることがあります。


40代を越えた辺りで体温が低い傾向の方はこちらの要因が絡むかもしれません。

 

オ血や痰飲は生活習慣や食事習慣から生じる事が多く、自覚症状としてもある程度は表面に出てきます。

適切な方剤を選ぶだけでなく、原因となっている生活習慣や食事習慣の改善に関してもアドバイスが必要で、どちらかだけでは中々改善まで辿り着きません。

症状の改善が出来てくると体温も適切な範囲で安定してきます。

年齢による卵巣の状態変化で体温が下がってきている場合も、漢方薬による卵巣ケアで回復が可能な場合は多いです。


④排卵期から黄体期に切り替わる際の体温の上昇(LHサージ)が緩やか

西洋医学的には 「黄体機能不全」 「排卵障害」 と診断される事と思います。


卵胞あるいは卵子の成長が不完全なうちにLHの分泌が起きると、卵胞・卵子が未熟なままで成長できなかったり、あるいは複数個の未成熟卵胞がネックレスのようになって成長してしまい、いずれも成長が途中で止まった状態になります。


また卵胞・卵子とも十分成長できているにも関わらず、中々破裂が出来ずに黄体化に時間がかかる場合もあります。


成長は十分ですがLHの分泌量が少ないために一気に排卵まで反応が起こせず、LHサージが緩やかになってしまっているように見受けられる事もあります。


LHサージに日数がかかる場合、漢方的には

卵胞期に不足した「陰精」が卵胞・卵子を十分に成長させられない

「陽気」が不足しており、転化(卵胞から黄体への変化)がスムーズにできていない

と捉えます。


まずは卵胞期に十分卵胞の成長を促す事。

そして排卵期に活血剤や理気剤で気血のめぐりを促し、排卵しやすい状況を整えます。


卵胞・卵子が成長できていれば、LHサージ自体はスムーズに行われます。

LHサージの際にいろいろ試すよりも、まずは卵胞期を整える事を意識いただくと良いと思います。


⑤高プロラクチン血症

元来プロラクチンは産後、母乳を分泌する際に必要になってくるホルモンです。

したがってプロラクチン値が高いという事は 「赤ちゃんがいて、母乳を分泌・与える必要がありますよ」 という状態です。

赤ちゃんを育てているのと同じ状態が擬似的に起きるわけですから、次の妊娠を妨げる働きが出てくるのは当然です。


なぜ妊娠もしないうちからプロラクチン値が高くなってしまうのか、具体的な理由は西洋医学的にもわかっていません。

ただ店頭でお客様のご相談を受けていて感じるのは、プロラクチン値が高い方は概ね 「強いストレス」 や「神経をすり減らすような環境」に現在あるか、以前受けていた方が多いように感じます。


高プロラクチンでのご相談では、主に 「回乳作用」 のある生薬配合の方剤を中心に、気の巡りを調整する漢方薬をご利用いただいております。

しかし一手間かけてプロラクチンを下げても、環境が変わらなければまた高くなってしまいます。


プロラクチンを下げるような漢方を利用しなくても、基礎体温を整え、ほか体調全般の調整と店頭で様々なお話をしているうちに、いつの間にかプロラクチン値が下がってしまったという方が多く、最近では特に高PRL血症に対しての漢方を利用しなくなっています。


⑥基礎体温が二層になっていない、またはそのままでは月経が起きないタイプ

何らかのトラブルによる無排卵の状態です。

中医学的には著しい気血の消耗、継続的なストレスによる気の巡り・血液の循環の停滞などから生じている方が多いようです。

多嚢胞性卵巣など一部の疾患、あるいはFSHが異常高値を保ってしまっている場合にこのような基礎体温が生じてくる事があります。

 

この状態のままでは卵胞の成長・排卵・一定の期間の後で月経と言う周期がめぐりません。

その方の状態に即した適切な漢方薬でまずは正常な月経周期を回復します。


山崎薬局で最近意外に多いのがこの無排卵の状態で悩み、ご相談に来られる方です。

無排卵になってしまう原因は、多くは陰精の不足から卵胞が育たなくなってしまう事です。


学生時代の過剰なスポーツの負担や、普段の生活の中での不摂生が積もりに積もり、時間の経過でいつの間にか生理周期が延長していき、ついに止まってしまった。

あるいは排卵誘発剤などで過剰に卵巣を刺激しすぎてもこのような状況になる事があります。

 

次に多いのが多嚢胞性卵巣症候群です。

先にも何度も出てきている疾患名ですが、子宝の悩みを抱えている方におそらく一番多いのがこの疾患ではないでしょうか。


今のところ当店でご相談頂いている方は無排卵の状態を回復し、一定の期間での月経にこぎつけてはいます。

無理にホルモン剤を利用しなくても漢方の力で十分卵胞の成長や排卵、黄体期の維持の後に月経を迎える事は可能です。


およそ月経周期・リズムでお悩みの方で、ホルモン剤治療に体がついていかない時には、一度漢方による月経リズムの回復を考慮頂きたいと切に望みます。