中医学における周期療法とは

中医学的な月経周期の捉え方

女性の生理周期が4期に分類されることは前述しました。

この4期の分類はあくまで西洋医学的なもので、漢方の流れを汲むものではありません。

しかし近年中国の中西医統合の流れの中で、周期ごとに起きる事象を上手に中医学に取り入れ、それぞれの特徴を引き出せるよう活血化オ薬、理気薬、補陰・補血薬、補陽薬などを組み合わせ、不妊改善を目的とした漢方薬の運用ができる方法を見つけ出しました。


周期療法を行うためには、前段階としてある程度生理周期が整っている(生理周期が28日前後、卵胞期と黄体期で二層線を描き、生理時に月経痛やレバー状の塊がない、など)必要があると私は考えています。


しかし特別な理由がないのに中々妊娠までたどり着けない方。

あるいは生理周期ごとの体温のメリハリがうまくつかない方には、後一押しの妊娠を考える上でとても有効な手段だと思います。

 


卵胞期に必要な事

前述しましたように、卵胞期ではFSHの刺激で卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が行われています。


エストロゲンの分泌がピークに達すると、脳下垂体より黄体化ホルモンの分泌が行われます。

黄体化ホルモンにより、成熟卵胞から卵子が排卵され、卵胞は黄体に変化します。


この一連の関係を中医学では陰陽の関係にたとえて「陰陽転化(陰が極大に達すれば陽が生まれる)」と捉えています。

つまり陰であるエストロゲンの分泌が徐々に増えていき、ピークに達したところで陽であるプロゲステロンの分泌に転化すると捉えているのです。


したがって卵胞期では陰が十二分に補充され活用できる状態を整えていく事が、後の優秀な成熟卵子の排卵、ひいては卵胞の黄体化およびLHサージ=黄体化ホルモンのスムーズな分泌につながると考えているのです。


この周期に合わせてお勧めしたい漢方薬は補陰薬・補血薬・補気薬などがあげられます。

胃腸の働きが弱いために、飲食物から十分な栄養を摂取できない方では、この時期「脾胃」の働きを同時に改善しておく必要があります。

 


排卵期に必要な事

排卵期は、LH(黄体化ホルモン)の影響により卵胞から成熟した卵子が飛び出し、卵胞は黄体に変化していきます。

卵胞が変化した黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され体温が一気に上昇します(LHサージ)。

排卵期は体の中でダイナミックな変化が起きている時期にあたるのです。


この変化の時期に注意したい事は、疲労やストレスなど変化に影響を与える要因をなるべく避け、あるいは気の巡りや血液の循環にスムーズな流れを作ってあげる事です。


卵子が排卵される際にもエネルギー(気)が必要になります。

したがって無駄に夜遅くまで起きていたり、大掛かりな掃除や運動など体力を消耗する事もあまりお勧めしません。


中医学ではこの変化の時期を陰陽転化と表現し、極大化した陰から陽にまさに転化していく時期と捉えています。


この周期に合わせてお勧めしたい漢方薬は、理気剤、活血薬、補気剤などです。

場合により子宮や卵巣に疾患があれば症状を弁証する事で他の漢方薬を用いる事もあります。

 


黄体期に必要な事

黄体期の初期、プロゲステロンの作用により子宮内膜はさらに肥厚していきます。

受精卵ができていれば、その受入れ態勢を整えています。


中医学的には陽がどんどん増えていく時期に例えられます。


この時期に必要な事は十分な栄養やエネルギーが血液に乗って子宮へ届けられる事、均一で、むらがない柔らかな子宮内膜をつくる事です。

また高温期は平常時よりやや高い体温を維持するために、体内に蓄えられていた栄養素はどんどん分解され代謝が加速しています。

プロゲステロンという水分を溜め込む性質を持ったホルモンが分泌されているために、この時期便秘や足のむくみなどが強くなる方もいらっしゃいます。


しかし一方でホルモンの影響から細かい事が気になり、イライラ・うつうつなど気持ちは悪い方向へと一直線に落ちてしまう事も多い時期です。

日常生活の見直しだけでは中々改善できるものではありませんが、なるべく自分のペースでのびのびと、ストレスをためない生活を心がけてほしい時期です。


この周期にお飲み頂きたい漢方薬は、補陽薬、少しの補陰薬、理気薬などが中心になります。

逆にあまり体温が高くなってしまう方、高温期の便秘や月経前症候群が強く出てしまう方には、弁証にあわせて最初のうちだけ清熱薬や瀉下薬を用いる事もあります。

 


月経期に必要な事

黄体ホルモンの分泌が始まってから2週間が経過した頃、子宮内膜に受精卵の着床がみられないと黄体は白体に変化します。


白体に変化がするとプロゲステロンの分泌量は低下し、維持できなくなった子宮内膜は子宮からはがれおち、月経血として排泄されます。


排卵期と同じく、月経期も体の中でダイナミックな変化が起きています。

プロゲステロンの変化に合わせて起きる子宮の収縮が強すぎれば、ひどい生理痛が生じます。

冷えやストレスはこの収縮をひどく不安定にしてしまう要素でもあります。

胃腸の状態によっては生理にあわせて下痢や吐き気が、体を維持するための血液の量によってはひどい眠気やだるさ、立ちくらみなどを起こす事もあります。


この変化は、次の生理周期を迎えるための 「リセット」 でもあります。

滞りなく生理を終わらせ、子宮の中身をすっきりきれいにして次の周期を迎えたいですね。


したがって月経期にお勧めしたい漢方薬は、主に子宮内膜を排泄する=月経血をきれいに掃除するための活血化瘀薬をメインに、補血薬、補陰薬などその方の体質に合わせて弁証・選択します。



周期療法のまとめ

周期療法は、卵胞・排卵・黄体・月経の各周期にその生理的な変化を助けるための漢方薬を服用いただくことが目的の漢方薬の一つの運用法です。


周期療法を行ったから確実に一ヶ月以内に赤ちゃんが授かるといった内容のものではなく、あくまで健康的な体作り、妊娠力を高めるための体質改善の方法です。


普段の生活習慣や、食事や睡眠などの要因が大切である事は言うまでもありません。


しかし、これといったトラブルが見受けられないにもかかわらず、中々妊娠までたどり着けない方に対して効果的な漢方薬の使い方である事は確かだと考えています。


また病院で処方されるお薬や、治療法との併用でタイミング法・人工授精・体外受精の成功率を上げていくことも可能だと思います。


予算費用的には20,000円~30,000円前後/月です。


一ヶ月分をいきなりお渡しするものではなく、ご相談に応じて一週間分からお渡ししていますので、一回のご相談にかかる費用は平均15,000円前後となります。


よく病院で処方されている当帰芍薬散などの服用では、いまひとつ体調的にも基礎体温などにも変化が見られない方にはぜひ試していただければと思います。